4年に一度開催される「サッカーワールドカップ」は、2022年のカタール大会は22回目の開催となります。この長い歴史の中で、様々な「法則」が生まれてきました。今回は、W杯に関する法則や呪い、ジンクスなどを、近年崩れているものも含め一挙ご紹介しつつ、カタールではどの国が当てはまるのかをご紹介します。
優勝国は監督がその国出身である・外国人監督は優勝できない
サッカーW杯は「優勝チームの監督は、全てその国の出身の監督」が務めています。
代表チームの選手は、その国に国籍がなければなりませんが、監督についてその縛りはなく、どの国の監督でも務めることができます。しかし、1930年から21回行われてきた全てのW杯において「優勝チームは、その国出身の監督が務めているチーム」となっているのです。
いままで「外国人監督のチームはW杯を優勝できていない」のです。
カタール大会で自国出身の監督は?
カタール大会に出場する26チーム中、21チームがその国出身の監督がチームを率いています。(イングランドを含む)2022年カタール大会において、その国の出身のチームは下記の通りです。
出場国 | 監督 |
---|---|
ブラジル | チッチ監督 |
セネガル | シセ監督 |
オランダ | ルイ・ファン・ハール監督 |
ドイツ | ハンジ・フリック監督 |
スペイン | ルイス・エンリケ監督 |
イングランド | サウスゲート監督 |
ポルトガル | サントス監督 |
日本 | 森保監督 |
アメリカ | バーホルダー監督 |
ウェールズ | ロブ・ページ監督※イギリス |
ウルグアイ | アロンソ監督 |
アルゼンチン | スカローニ監督 |
フランス | デシャン監督 |
オーストラリア | アーノルド監督 |
スイス | ヤキン監督 |
カメルーン | ソング監督 |
セルビア | ストイコビッチ監督 |
ガーナ | オッド監督 |
デンマーク | ヒュンマルド監督 |
チュニジア | カドリ監督 |
モロッコ | レグラギ監督 |
22年カタール大会で優勝したアルゼンチンも、監督は自国出身のスカローニ監督が務めました。
バロンドールの呪い
世界最優秀選手賞である「バロンドール」を、W杯の前の年に獲得した選手がいるチームは、ワールドカップで優勝できないというジンクスがあります。
バロンドールは設立当初ヨーロッパの選手限定、95年からはヨーロッパでプレーする全ての選手と選ばれる選手は限定されていました。しかし、56年以降、全ての大会でこの「バロンドールの呪い」が成立しています。
W杯前年度 | バロンドール獲得選手(国籍) | 次の年のW杯 |
---|---|---|
57年 | ディ・ステファノ(スペイン) | 予選敗退 |
61年 | シボリ(イタリア) | グループリーグ敗退 |
65年 | エウゼビオ(ポルトガル) | 3位 |
69年 | リベラ(イタリア) | 準優勝 |
73年 | クライフ(オランダ) | 準優勝 |
77年 | シモンセン(デンマーク) | 予選敗退 |
81年 | ルンメニゲ(西ドイツ) | 準優勝 |
85年 | プラティニ(フランス) | 3位 |
89年 | ファン・バステン(オランダ) | 決勝トーナメント1回戦敗退 |
93年 | ロベルト・バッジョ(イタリア) | 準優勝 |
97年 | ロナウド(ブラジル) | 準優勝 |
01年 | マイケル・オーウェン(イングランド) | ベスト8 |
05年 | ロナウジーニョ(ブラジル) | ベスト8 |
09年 | リオネル・メッシ(アルゼンチン) | ベスト8 |
13年 | クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) | グループリーグ敗退 |
17年 | クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) | ベスト16 |
21年 | リオネル・メッシ(アルゼンチン) |
歴史上バロンドールの呪いにより決勝戦で6回も跳ね返されています。加えて、2000年以降では、なんと前年にバロンドールに選ばれた選手が属するナショナルチームは、ベスト4にすら残ることができていないなど、もはや呪いは強くなっているのかもしれません。
22年カタールW杯にてメッシ選手属するアルゼンチンは、グループ初戦を1-2で落とすこととなりましたが、見事優勝を果たし、このバロンドールの呪いを打ち破りました。
前回大会で優勝したチームはグループリーグで敗退する
「前回大会で優勝したチームは、次の大会でグループリーグで敗退してしまう」ということが、2002年の日韓大会以降多発しています。
大会 | 優勝チーム | 次の大会の結果 |
---|---|---|
98年 | フランス | グループリーグ敗退 |
02年 | ブラジル | 準々決勝敗退 |
06年 | イタリア | グループリーグ敗退 |
10年 | スペイン | グループリーグ敗退 |
14年 | ドイツ | グループリーグ敗退 |
18年 | フランス | ??? |
18年大会優勝のフランスは、このジンクスを破ることができるのでしょうか。このジンクスは、その前回大会に優勝国を差し置いて、優勝をしたことがない1チームがグループリーグを勝ち上がることも指摘されています。
18年大会優勝国のフランスは、グループステージを突破しました。
3連覇した国はない
上記のように、近年では連覇どころか、次の大会でのグループリーグ敗退が騒がれているものの、長いW杯の歴史において、連覇と果たしたのはイタリアとブラジルだけです。
さらにこの2回とも50年以上前の記録であり、一度も3連覇を果たしたチームは存在しません。
開催国はグループリーグを突破する
W杯の開催国はグループリーグを突破するというジンクスがあります。
14年の南アフリカ大会でこの連続記録は崩れてしまったものの、それまで一度もグループリーグを突破してこなかった日本や韓国も、02年ではこの初のグループリーグを突破を達成しています。22年大会を開催するカタールは、これまでグループリーグどころか、W杯そのものが初出場です。このジンクスにのっかることができるのでしょうか。
同様に開催国の初戦は、非常に高い勝率を誇っています。
22年の開催国カタールは、史上初となる3連敗で姿を消すこととなりました。
ドイツのグループリーグ突破記録は18年に途絶えた
なお、ヨーロッパの強豪ドイツは、西ドイツ時代を含めると、出場した全ての大会でベスト16以上の記録を残してきました。しかし、18年ロシアW杯において、上記の「開催国のグループリーグ敗退」に流されることとなり、初めてグループリーグ敗退を喫しました。
ヨーロッパの国と南米の国が交互に優勝する
近年では崩れているものの、06年大会まで12大会連続で南米の国とヨーロッパの国が交互に優勝するという流れがありました。
06年大会からは4大会連続でヨーロッパの国が優勝しているため、このジンクスは薄れています。
年度 | 優勝国 | 地域 |
---|---|---|
30年 | ウルグアイ | 南米 |
34年 | イタリア | ヨーロッパ |
38年 | イタリア | ヨーロッパ |
50年 | ウルグアイ | 南米 |
54年 | 西ドイツ | ヨーロッパ |
58年 | ブラジル | 南米 |
62年 | ブラジル | 南米 |
66年 | イングランド | ヨーロッパ |
70年 | ブラジル | 南米 |
74年 | 西ドイツ | ヨーロッパ |
78年 | アルゼンチン | 南米 |
82年 | イタリア | ヨーロッパ |
86年 | アルゼンチン | 南米 |
90年 | 西ドイツ | ヨーロッパ |
94年 | ブラジル | 南米 |
98年 | フランス | ヨーロッパ |
02年 | ブラジル | 南米 |
06年 | イタリア | ヨーロッパ |
10年 | スペイン | ヨーロッパ |
14年 | ドイツ | ヨーロッパ |
18年 | フランス | ヨーロッパ |
22年 | アルゼンチン | 南米 |
決勝は南米とヨーロッパの争い
残念ながらヨーロッパと南米以外のアジアやアフリカなどの地域は、優勝はおろか決勝戦にも一度も進むことができていません。
開催国の大陸が優勝
上記の南米と欧米の交互優勝と同様に、多くの大会で「開催された国が属する地域・大陸」から優勝国となってきました。W杯が開催されていこう、多くの大会でこのジンクスが守られてきましたが、94年アメリカ、02年日韓、10年南アフリカと、南米やヨーロッパ以外の国で開催された場合などはこのジンクスはほぼ言われることがなくなりました。
W杯の前年のコンフェデ優勝国はW杯で優勝できない
W杯の前の年に、「6つの大陸選手権王者」「W杯優勝国」「開催国」によって開催されるコンフェデレーションズカップの優勝国は、その次の年のW杯で優勝できないというジンクスがあります。
これまで全ての年で成立しているものの、残念ながら21年コンフェデ杯は開催されていないため、カタール大会での検証はできません。
年度 | 優勝国 | 次の年のW杯の結果 |
---|---|---|
97年 | ブラジル | 準優勝 |
01年 | フランス | グループリーグ敗退 |
05年 | ブラジル | ベスト8 |
09年 | ブラジル | ベスト8 |
13年 | ブラジル | ベスト4 |
17年 | ドイツ | グループリーグ敗退 |
ブラジル代表は全大会出場
「カナリア軍団」「セレソン」の異名を持つブラジル代表は、なんと開催された22大会全てに出場しています。
同様にブラジル代表は、W杯の最多優勝回数(5回)を誇っています。
直前のオリンピックで10番をつけた日本代表はワールドカップのメンバーに選ばれない
W杯と同様に4年おきに行われる「オリンピック」で10番をつけた日本代表選手は、その2年後に行われるW杯でメンバー入りできないということが続いていました。
しかしこのジンクスは、22年カタールでは破られることとなりました。