パネンカ(クッキアイオ)とは?
パネンカとは、PKに、ゴールの中央にむかって、チップキックで柔らかいボール放つシュート方法のことです。
通常PKはゴールのすみを狙うのが一般的です。対してゴールキーパーは、キッカーが蹴った後に反応した場合、よほどコースが甘くない限り止めることは難しいため、シュートコースを予想して蹴る瞬間や直前に横に飛ぶことが多いです。そのGKが飛んだあとのガラ空きとなった中央に、あざ笑うかのようにループ気味のシュートを蹴り込みます。
しかしパネンカは、
- ただでさえPKは高いプレッシャーがかかる
- 相手GKが横に飛ぶことを前提としており、相手GKが動かない場合まず入らない(実際失敗の例も多い)
- 通常、左右どちらかを狙うシュートであえて真ん中を狙う
- 強めに蹴ることが一般的なか、柔らかいボール
- 仮に真ん中に蹴るにしても強めに蹴ればいい
- 失敗したら大きく非難されるのは間違いない
など、使用するにはかなりの強メンタルと高い技術が必要で、サッカーの王様ペレ氏はこのプレーを「天才か狂人のみができる技」と表現しています。
イタリア圏ではパネンカのことを「クッキアイオ(スプーンのこと)」と呼ばれることもあります。
パネンカの由来
パネンカは、チェコスロバキア代表のアントニーン・パネンカ選手の名前が由来となっています。
パネンカ選手は、
- 1976年”欧州選手権決勝のPK戦”
- 母国チェコスロバキアは優勝すれば初タイトル獲得
- キッカーのパネンカ選手自身がPKを決めれば優勝決定
- 相手GKは当時の世界最高峰GKゼップ・マイヤー選手(ノイアー選手に抜かれるまでドイツ代表最多クリーンシート、最多出場を記録した名GK)
- 欧州選手権では初のPK戦(PK戦は1970年に初めて導入されたため歴史が浅い)
という大きな注目集まる大舞台において、ゴール中央に軽くうかしたチップキックによってPKを決め、母国を優勝に導くという離業をやってのけ、大きな話題となりました。
ゴールを決めたといえど「ヨーロッパ最高の舞台でのスタンドプレー(観客の喝采を狙うようなプレー)」という批判もあったものの、パネンカ選手は、”キーパーを嘲笑うなどの意図はなく、ゴールするために最も簡単で最もシンプルな方法だから"と、「ゴールを決めるためだけにパネンカを選択した」ことを語っています。実際リーグ戦では何度か”パネンカ”を使用しているため、事実の可能性が高いでしょう。
この成功以降、このプレーに彼の名が冠され「パネンカ」と通称されるようになりました。
代表的なパネンカ
パネンカ選手以降、様々な選手が大舞台でパネンカを使用しています。とはいえ実際にパネンカを使用する選手は多くなく、成功すれば大きなインパクトを与えます。
フランチェスコ・トッティ | EURO2000 |
ジネディーヌ・ジダン | 2006W杯決勝 |
セバスティアン・アブレウ | 2010W杯準々決勝 |
アンドレア・ピルロ | EURO2012 |
アレクシス・サンチェス | コパアメリカ2015決勝 |
オマル・アブドゥッラフマーン | アジアカップ2015準々決勝 |
他にも、リオネル・メッシ選手、セルヒオラモス選手、セバスチャン・アブレウ選手などパネンカを使用するプレーヤーも存在します。