サッカーのプレー・テクニック

「パネンカ」とは?由来となったPK戦が大舞台すぎ!サッカー用語解説!

2022年5月18日

パネンカ(クッキアイオ)とは?

パネンカとは、PKに、ゴールの中央にむかって、チップキックで柔らかいボール放つシュート方法のことです。

通常PKはゴールのすみを狙うのが一般的です。対してゴールキーパーは、キッカーが蹴った後に反応した場合、よほどコースが甘くない限り止めることは難しいため、シュートコースを予想して蹴る瞬間や直前に横に飛ぶことが多いです。そのGKが飛んだあとのガラ空きとなった中央に、あざ笑うかのようにループ気味のシュートを蹴り込みます。

しかしパネンカは、

  • ただでさえPKは高いプレッシャーがかかる
  • 相手GKが横に飛ぶことを前提としており、相手GKが動かない場合まず入らない(実際失敗の例も多い)
  • 通常、左右どちらかを狙うシュートであえて真ん中を狙う
  • 強めに蹴ることが一般的なか、柔らかいボール
  • 仮に真ん中に蹴るにしても強めに蹴ればいい
  • 失敗したら大きく非難されるのは間違いない

など、使用するにはかなりの強メンタルと高い技術が必要で、サッカーの王様ペレ氏はこのプレーを「天才か狂人のみができる技」と表現しています。

イタリア圏ではパネンカのことを「クッキアイオ(スプーンのこと)」と呼ばれることもあります。

パネンカの由来

「パネンカ」の名を冠するきっかけとなった

パネンカは、チェコスロバキア代表のアントニーン・パネンカ選手の名前が由来となっています。

パネンカ選手は、

  • 1976年”欧州選手権決勝のPK戦
  • 母国チェコスロバキアは優勝すれば初タイトル獲得
  • キッカーのパネンカ選手自身がPKを決めれば優勝決定
  • 相手GKは当時の世界最高峰GKゼップ・マイヤー選手(ノイアー選手に抜かれるまでドイツ代表最多クリーンシート、最多出場を記録した名GK)
  • 欧州選手権では初のPK戦(PK戦は1970年に初めて導入されたため歴史が浅い)

という大きな注目集まる大舞台において、ゴール中央に軽くうかしたチップキックによってPKを決め、母国を優勝に導くという離業をやってのけ、大きな話題となりました。

ゴールを決めたといえど「ヨーロッパ最高の舞台でのスタンドプレー(観客の喝采を狙うようなプレー)」という批判もあったものの、パネンカ選手は、”キーパーを嘲笑うなどの意図はなく、ゴールするために最も簡単で最もシンプルな方法だから"と、「ゴールを決めるためだけにパネンカを選択した」ことを語っています。実際リーグ戦では何度か”パネンカ”を使用しているため、事実の可能性が高いでしょう。

この成功以降、このプレーに彼の名が冠され「パネンカ」と通称されるようになりました。

代表的なパネンカ

パネンカ選手以降、様々な選手が大舞台でパネンカを使用しています。とはいえ実際にパネンカを使用する選手は多くなく、成功すれば大きなインパクトを与えます。

フランチェスコ・トッティEURO2000
ジネディーヌ・ジダン2006W杯決勝
セバスティアン・アブレウ2010W杯準々決勝
アンドレア・ピルロEURO2012
アレクシス・サンチェスコパアメリカ2015決勝
オマル・アブドゥッラフマーンアジアカップ2015準々決勝
大舞台でのパネンカ成功例

他にも、リオネル・メッシ選手、セルヒオラモス選手、セバスチャン・アブレウ選手などパネンカを使用するプレーヤーも存在します。

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