ホームグロウン制度とは?
ホームグロウン制度とは、サッカークラブのトップチームに登録する選手のうち、一定人数を自分たちで育成した選手にしなければならないルールのことです。
このホームグロウンの条件を満たす選手のことをホームグロウン選手(HG選手)といいます。
もともとホームグロウン(homegrown)とは「自宅で作った・地元出身の・国産の」という意味を持っています。各国のトップリーグなどは、下部組織の発展や、外国人枠によるデメリットの軽減、自国の若手選手の育成などのため、このホームグロウン制度を設け、所属するクラブチームに登録選手の制限などを設けています。
「ホームグロウン選手となる定義」に関しては、各国のリーグや大会ごとに詳細に定められています。
Jリーグのホームグロウン制度
Jリーグでは、2019年よりこのホームグロウン制度が設けられています。2023年においては、J1では4名以上、J2とJ3では2名以上のホームグロウン選手を、シーズン最初の登録ウインドーの終了時点で登録していなければならないとしました。
このHG選手の条件を満たさない場合、不足している人数を次のシーズンのプロA契約から減らされる罰則が取られます。
JリーグのHG選手の定義
Jリーグでは、HG選手の条件の条件をまとめると下記の様になります。
- 12歳から21歳の間、3シーズン又は36ヶ月以上、自クラブで登録していた選手
- 満12歳の誕生日を含むシーズンから、満21 歳の誕生日を含むシーズンまでを対象とする。しかしその期間は連続している必要はない。
- 21歳以下の期限付移籍選手の育成期間は、移籍元クラブでカウントする
- 選手を国籍や、プロかアマチュアか、年齢などによって区別しない
- JFA・Jリーグ特別指定選手は、HG選手と見なさない
すなわち育成型期限付き移籍の期間中は、移籍元クラブで育成期間が計上されます。
トップ昇格となる選手や、大学を経由して所属していた下部組織のトップチームに登録される選手は、この条件を満たしている可能性が高いと言えます。
JリーグではHG選手の枠は増加傾向
Jリーグのホームグロウン選手の規定人数は、導入された2019年以降上昇傾向にあります。
年度 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|---|
J1 | 2名以上 | 2名以上 | 3名以上 | 4名以上 | 4名以上 | 4名以上 |
J2 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 1名以上 | 2名以上 | 2名以上 |
J3 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 1名以上 | 2名以上 | 2名以上 |
参照:2024年シーズンのホームグロウン制度規定人数について(外部リンク)
プレミアリーグのホームグロウン制度
プレミアリーグでは「ホームグロウン選手をトップチームに最低8名以上登録しなければならない」というルールが定められています。
プレミアリーグにおいては、外国人枠は定められていないため、何人でも自国以外の選手を登録・出場させることができます。しかしその代わりに厳しくホームグロウン選手の登録枠が定められています。
他にもプレミアリーグは労働ビザを取得する必要があり、これが高いハードルになっています。
HG選手の登録条件を満たせなかった場合、不足している人数分がホームグロウン外の登録枠が削減されます。
プレミアリーグのHG選手の条件
プレミアリーグのHG選手の条件は下記の通りです。
- 21歳の誕生日を迎えるまでに、3シーズンまたは36ヶ月以上、イングランドまたはウェールズのクラブでプレーしていなければならない
- 国籍は問わない
ホームグロウンの条件を満たす選手の移籍金が高めに設定されることもあります。
チャンピオンズリーグのHG枠
チャンピオンズリーグでは、それぞれのクラブは「Aリスト」と「Bリスト」の選手リストを提出する必要があり、この中に「自国で育成した選手」に関するルールが定められています。
Aリスト
登録人数のうち、8名以上が「地元育成選手」であり、その8名のうち4名以上が「クラブ育成選手」である必要があります。
地元育成選手 | 15歳から21歳までの間に3年以上が所属するチームまたは同じ国の別のチーム(同じ協会)に所属した選手 |
クラブ育成選手 | 15歳から21歳までの間に3年以上そのクラブに在籍した選手 |
ここでも国籍は問われず、地元やクラブで育成したかどうかが問われます。そのため、各国A代表に入る選手が、他国のHG選手となるケースもあります。
Bリスト
Bリストにおいては、シーズン開幕21年前の1月1日以降に生まれた選手であり、15歳以降に継続して2年以上そのクラブに所属している選手が登録することができます。上記のAリストは人数制限などがあるのに対し、Bリストは登録人数が無制限であるほか、試合前日まで申請することができます。