インナーラップとは?どういう意味?
インナーラップとは、ボールを保有している選手の内側を、他の選手が後方より追い越すオフ・ザ・ボールの動きのことです。
攻撃に厚みを増し数的有利の状態を作りやすいほか、バイタルエリアに侵入するようなインナーラップが行われれば、相手は対応に迫られます。インナーラップうまく活用することで、相手の守備を混乱させることができます。
主にサイドでボールを持つウィンガーやサイドハーフを、インサイドハーフやサイドバックが内側を追い越す動きに対して使用されます。
近年日本では「インナーラップ」という表現がよく使用されますが「アンダーラップ」が正しい表現という声もあります。
オーバーラップとインナーラップの違いについて
インナーラップが「ボールホルダーの内側を追い越す動き」であるのに対し、ボールホルダーの外側を追い越す動きを「オーバーラップ」といいます。
いわばオーバーラップとインナーラップは対義語と考えることができます。
内側外側関わらず「追い越す動き」のことをオーバーラップと統一され使用されることもあります。
サイドでのマッチアップで対応はオーバーラップよりインナーラップのほうが難しい
サイドでマッチアップをしている場合、オーバーラップをされても相手DFはそのプレーを目で追うことができます。しかし、インナーラップの場合、自身の背後を追い越されることになります。そのため、インナーラップはマークの受け渡しがしにくく、対応が難しいという特徴があります。
インナーラップ時にボールを失うとピンチに
インナーラップをした場合、攻撃に厚みが出る反面、その分守備が手薄になることになります。できてしまったスペースを利用されカウンターを受ける可能性もあるため、カバーリングやインナーラップをするタイミングを見極めることも重要です。
つるべの動きとインナーラップ
一人のプレーヤー(基本的にはサイドプレーヤー)がインナーラップなどで攻撃参加した場合、もう一人のプレーヤーはバランスを取るために上がらずに残る動き、およびその2人の関係性のことを「つるべの動き」と言います。
ハーフスペースによりインナーラップの重要性も上昇
近代サッカーでは、ピッチを縦に5分割したうちの真ん中と両サイドに挟まれたエリア「ハーフスペース」を活用するプレーや戦術が注目されています。
ハーフスペースを活用するために、SBやボランチ、CMTなどがハーフエリアをインナーラップする動きもよく見られます。
偽サイドバックとインナーラップ
偽サイドバックとは、自分チームがボールを保有した際に、サイドバックが中央に絞りアンカーと同じような高さにポジショニングする戦術のことです。
偽サイドバックは「CMFが高い位置を取りやすい」というメリットがあるため、ボールを持つウイングに対し、偽SBやインサイドハーフがインナーラップを仕掛けることで、相手守備陣を混乱させることもできます。
SBは時代によって必要とされる能力が変化しており、インナーラップやオーバーラップの使い分けや、ゲームメイクも求められようになっています。