サッカーのルールについて

DOGSO(ドグソ)とは?4要件や三重罰、SPAとの違いは?わかりやすいサッカー解説!

2022年6月2日

DOGSO(ドグソ)とは?

DOGSO(ドグソ)とは、"Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity"の略で、サッカーにおける「決定的な得点機会の阻止」のことです。

相手の決定機を、DOGSOの条件を満たすファウルによって止めた場合、反則をした選手に原則レッドカードが提示されます。

例えば同じ「トリッピング(相手をつまづかせる反則)」でも、「中盤のパス回しの際に発生したもの」と「GKとの1対1の場面で発生したもの」では、明らかにその試合に関わる重みが違います。

そのため、通常のファウルに比べて、「決定機を止めるファウルに対する罰則は退場となり非常に重い」ことで、「このまま1点を奪われるくらいなら、ファウルでも止めてしまおう」というプレーがしにくくなっているのです。

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DOGSO(ドグソ)の4要件

それでは、どのようなケースを決定機とするのでしょうか。JFAでは、DOGSOの要件として、次の状況を考慮に入れるとしています。

  • 反則とゴールとの距離
  • 全体的なプレーの方向
  • ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
  • 守備側競技者の位置と数

原則、DOGSOが適用される場合、上記4つの条件が全て満たしている必要があります。

反則とゴールとの距離:DOGSOの4条件

ファウルを侵した場所とゴールとの距離が一定以上近いことがDOGSOの条件となります。

具体的な距離の基準はないものの、ペナルティエリア外でも十分に適用される範囲となります。また、仮にハーフウェーライン付近だとしても、そのまま遮るDFが誰もおらず、ゴールキーパーとの1対1となるような場面では高確率で適用されると言えます。

全体的なプレーの方向:DOGSOの4条件

ボールを保持している選手が、ゴールに向けてプレーしていることも条件となります。

例えば、ボールを受けた選手がゴールに背を向けているような状態では、DOGSOは適用されません。もちろん、絶対的にゴール方向というわけではなく、例えばGKをドリブルで抜こうとして一時的に横に向かった場合などでも、ゴール方向とされる可能性が高いです。

ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性:DOGSOの4条件

そのファウルがなかったら、攻撃側のチームがボールをコントロールをできていたかも基準になります。

例えば、パスミスなどによりボールがつながりそうにないようなケースでは、適用されることはありません。ファウルによってコントロールできなくなった場合にDOGSOとなります。

守備側競技者の位置と数:DOGSOの4条件

守備側のプレーヤーが数的不利に陥っていたり、守備ブロックがうまく形成できていないといった、ディフェンス側が不利な条件であることもDOGSOの要件となります。

仮に枚数が揃っていたとしても、裏やスペースに抜け出して、明らかに決定機となるような場合などでも、適用されます。「その決定機を受け止めることができそうにない」ことが重要と言えます。

ファウルの悪質さは適用条件に入らない

DOGSOの要件は「決定的な得点機会を阻止したかどうか」のため、ファウルの悪質さは適用基準には含まれていません。

そのため、ファウルそのものは軽い接触程度のものでも、DOGSOが適用されてレッドカードが掲示されることがあります。

DOGSO(ドグソ)とSPA(スパ)の違い

SPA(スパ)とはStopping a Promising Attackの略で、「大きなチャンスとなる攻撃の妨害」のことです。

SPAであると主審が判断した場合、反則を犯した守備側競技者は、イエローカードが掲示されます。SPAは「DOGSOの要件を全て満たしてはいないものの、大きなチャンスを阻止した」場合に適用されます

DOGSOの4要件全てを満たしていない場合のファウルによる阻止は、SPAが適用されると考えておくといいでしょう。

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DOGSOでイエローカードが出る場合

DOGSOの条件を満たした場合、原則はレットカードが提示されます。しかし、下記2つのようなケースでは、DOGSOの条件を満たしても、イエローカードとなります。

  • 主審がDOGSOのファウルに対してアドバンテージを適用した場合
  • ペナルティエリア内で三重罰の緩和がDOGSOに適用された場合

それぞれについて見ていきましょう。

主審がDOGSOのファウルに対してアドバンテージを適用した場合

DOGSOの要件を満たすものの、アドバンテージが適用された場合、レッドカードではなく、反スポーツ的行為でイエローカードとなります。

得点機会阻止のファウルでアドバンテージが取られた場合、「結果的にそのチャンスの阻止はできてない」ため、少し警告の具合が下がる場合があると頭の片隅に入れておくといいでしょう。

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三重罰の緩和がDOGSOに適用された場合

三重罰(さんじゅうばつ)とは、1つのファウルによって「PK献上」「退場」「次節出場停止」という3つの罰則が同時に下されることです。

上記のように三重罰は、いわずもが大きなダメージとなるため、「三重罰を緩和する」ルールが存在します。

「PKを与えるファウルが発生し、通常レッドカードとなるものの、『ボールにチャレンジできる場面だったが、結果としてファウルとなってしまった』と判断される場合、レッドカードからイエローカードへ軽減」することが定められています。

そのため、PKを相手に献上し、DOGSOの要件を満たすファウルをしたとしても、「意図的ではなく、十分ノーファールとなる可能性があった」場合、三重罰の緩和が適用されイエローカードとなることがあります。

DOGSO(ドグソ)はいつから?

DOGSO(ドグソ)という言葉は、2018年のごろから誕生しましたが、「決定機阻止」という概念は、1980年台まで遡ります。

当時、相手のチャンスで故意にファウルをすることで、一旦プレーの流れを切るようなプロフェッショナルファウルが目立つようになっていました。これにより、1990年イタリアW杯より、決定的なチャンスを阻止したファウルに対する罰則規定が設けられ、「ファウルによって失点を防ぐ」ことの罰則が非常に重くなりました。

VARにより、DOGSOが議論となる機会が増加

近年では、VARが導入され、OFR(オンフィールドレビュー)によって、主審が該当するシーンをビデオモニターにてチェックし、自身の判定を確認することも増えました。

DOGSOは、VARの対象の1つである「退場かどうか」です。「決定的な機会の阻止」という概念が主観的な判断が必要なため、多くがOFR(オンフィールドレビュー)が行われます。

そのため、該当するシーンを選手・観客が見ることができるようになり、「DOGSOだったかどうか」という議論も増え、結果的にDOGSOという言葉が注目を集めることとなっています。

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