サッカーのルールについて

アディショナルタイムとは?決め方や意味、ルールについてわかりやすく解説!サッカー解説

2022年5月26日

アディショナルタイムとは

アディショナルタイム(Additional time:AT)は、前半と後半それぞれの後に追加される、試合中の空費時間のことです。

サッカーでは試合の途中では、ハーフタイムを除き試合中時計が止まることはありません。しかし試合中には、選手交代や怪我の治療など、「試合の時間は進んでいるが試合が行われていない空費した時間」が存在します。前半後半の試合時間が経過した後、その空費した時間をアディショナルタイムとして追加することで、試合時間を確保します。

アディショナルタイムは、前半後半の終了時に、第4の審判によって”最低の分数”が表示されます。

アディショナルタイムとして追加される時間の例

以下のような時間が、「試合の公平さを保つため」アディショナルタイムとして追加されます。

ボールがピッチの外に出たあとの、スローインゴールキックコーナーキックを行う前までの時間は追加されません。

交代などの多さから、後半のほうがアディショナルタイムが長くとられる傾向があります。

怪我をしたふりや、遅延行為、時間稼ぎ目的の交代も、アディショナルタイムに追加されるため、理論上意味はありません。

遅延行為についてはこちら

アディショナルタイムの決め方は?誰が決める?

アディショナルタイムは、主審が独自に判断して決定します。

主審は上記の「空費時間」を、例えば両手に2つ時計を使用するなどして計測し、アディショナルタイムを決定します。なお試合終了間際に、主審から第4の審判にロスタイムの時間は伝達されています。

アディショナルタイムに上限・下限はない

アディショナルタイムに関し、上限や下限は設けられていません。

そのため、「アディショナルタイムなし」で、試合時間の終了とともに笛がなることがあります。

アディショナルタイム○分=「○分0秒〜59秒で試合終了」

アディショナルタイムは、掲示された分数代まで試合が継続されます。

たとえば「アディショナルタイム3分」では、かならず3分ぴったりで試合が終わるわけではなく、3分00秒〜3分59秒で試合終了となります。一方のチームがチャンスを迎えている場合などでは、ボールや攻撃が一度きれるまで試合が継続される場合が多いです。

原則、掲示されたアディショナルタイムよりも短く試合が終了することはありません。また、主審は一度決められたアディショナルタイムを増やすことはできますが、減らすことはできません。

アディショナルタイムはさらに追加される場合も

アディショナルタイム中に、負傷者の対応など上記の空費時間が発生した場合、その時間もアディショナルタイムに追加されます。

すなわち、前後半終了の直前に掲示された時間よりも、長くアディショナルタイムが取られることもあります。

※アディショナルタイムによって試合時間が長くなることはない

「試合の中断時間=アディショナルタイム」ではありません。

なお、アディショナルタイムは「試合時間の確保」のために取られるものです。

例えば、後半40分に怪我人が発生し、試合の再開までに10分間かかったとします。この怪我人による中断で10分のアディショナルタイムを取った場合、「後半40分+10分」で後半の試合時間が50分となってしまいます。ここでの空費時間は5分(40分〜45分)となります。

アディショナルタイムが残り1分の場面で、同様に3分試合が中断したとしても、本来1分以上時間が追加されることはありません。中断ではなく、本来のプレー時間を確保するために行われると覚えておきましょう。

アディショナルタイム関連

過去には「ロスタイム」とされていた

アディショナルタイムは、過去では「ロスタイム(Loss of Time:失われた時間の和製英語)」と表現されていました。そのため、ロスタイムとアディショナルタイムは同じ意味です。しかし、

「”ロス”にネガティブな印象がある」「国際基準に統一する(和製英語のため日本でしか使われていない)」といった理由から、現在ではアディショナルタイムと統一されており、あまりロスタイムという表現は使用されません。

VARによってアディショナルタイムは長く傾向

VARの導入によって、誤審などが少なくなった代わりに、チェックやOFRなどで試合時間が止まることが多くなりました。そのためVAR導入後、過去に比べ、アディショナルタイムが長く取られる傾向があります。

フットサルはタイムキーパー制のためアディショナルタイムがない

フットサルではサッカーと違い、インプレーの時間のみ時間が進みます。すなわちボールが外に出ているときなどは時計が進むことはありません。

そのため、フットサルではアディショナルタイムは存在しません。

アディショナルタイムのドラマ

サッカーでは、アディショナルタイムで劇的な展開が発生し、人々の記憶に残る瞬間も多いです。代表的なものとして、以下のようなものが挙げられます。

  • ドーハの悲劇:後半アディショナルタイムで失点し日本はW杯初出場を逃す
  • 神を見た夜・博多の森の悲劇:「川崎VS福岡」福岡が後半ATで同点ゴール、延長戦で勝ち越しJ1参入
  • 大分の悲劇:J1参入が見えていた見えていた大分が後半ATで失点しJ1昇格を逃す
  • 99年CL決勝:0-1で負けていたマンチェスターユナイテッドが、後半ATで2得点し逆転勝利
  • 03年J1・2nd最終説:最終節時点4チームが優勝の可能性があるなか、後半ATのゴールで順位変動
  • 05年J1最終説:最終説時点5チームが優勝の可能性があるなか、後半AT付近で順位変動
  • ヤウンデの悲劇:06年W杯アフリカ予選、後半94分(AT5分)のPKを外しカメルーンは出場を逃す
  • リヤドの悲劇・歓喜:W杯アジア予選プレーオフで、後半ATで1点ずつゴール
  • 07年スコットランドリーグ:セルティック中村選手が後半ATで直接フリーキックで決勝点を決め2連覇達成
  • 09年CL準決勝:イニエスタ選手が後半ATで得点し決勝へ進む
  • 12年プレミアリーグ最終説:マンチェスターシティは後半ATに2得点し逆転⇨初のプレミアリーグ制覇
  • 12年高校サッカー選手権決勝:0-1の状態から後半ATに市立船橋が同点ゴール⇨延長戦で逆転(+史上初の選手&監督優勝の誕生)
  • 14年J1昇格プレーオフ準決勝:磐田VS山形:後半ATに山形GK山岸がコーナーキックからのヘディングで勝ち越し
  • 14年CL決勝:マドリードダービーとなったCL決勝でセルヒオラモスが後半ATに同点ヘッドを決めその後延長で逆転
  • 17年CLベスト16:5点差以上でかつ必要があるバルセロナが、4-1で迎えた後半ATで2得点し次のラウンドへ
  • 18年W杯アジア予選:後半ATに山口蛍選手のバースデーゴールが決勝弾
  • ロストフの死闘:日本は後半ATにカウンターから失点し敗北

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