サッカーのFKの際に見られる「壁」には、守備側はもちろん、攻撃側にもルールが存在し、ひと昔までには有効であった作戦にも制限がかかっています。今回は、サッカーの「壁」に関するルールを、変更点・よくある質問などとともにご紹介していきます。
そもそも「壁」とは?
壁とは、FKの際にディフェンス側が、シュートコースや危険な位置へのパスを塞ぐために、選手によって壁を作ることです。
ゴールまでの距離が近いフリーキックの場合、強力なシュートを打たれてしまえば、防ぐことが難しくなってしまいます。そのため、フィールドプレーヤーでシュートコースを塞ぐ「壁」を作ることで、コースを限定します。
基本的に壁はニア側を優先して塞ぎ、GKが少しファーに位置することが多いです。
壁の人数は「枚」で数える
「壁」は守備側の人数ごとに「枚」と数えます。
基本的にはGKが壁の人数や位置を指示します。「4枚」とすれば、4人で壁を作ることを意味しています。
この枚数は守備側の人数だけであり、攻撃側の選手は壁にカウントしません。
FKの壁の詳細ルール
それでは、FKの壁に関するルールをご紹介していきます。
壁となる守備側はボールから9.15m以上離れなければならない
直接フリーキックや間接フリーキックの際、ディフェンス側は、インプレーとなるまで最低9.15m以上離れる必要があります。
そのため、必然的に壁もボールから9.15m以上離れた位置に作らなければなりません。FKでそのままシュートを狙う場合、壁とボールの距離が近ければ近いほど、シュートコースが狭まります。そのため、少しづつ壁が前に出てくることを防ぐため、バニシングスプレーによって、「壁が近づける距離」が示されることがあります。
コーナーキックなどプレースキックの際、守備側は原則9.15M以上離れる必要があります。
キックオフの際に9.15m以上離れるためにセンターサークルが、ペナルティキックの際に離れるために、ペナルティエリアの外側に「ペナルティアーク」が描かれています。
スローインの場合は、相手プレーヤーはスローインをする場所から2メートル以上離れなければなりません。
間接FKで9.15m離れることが不可能な場合
ゴールエリア内で与えられた間接フリーキックに関しては、違反の起きた位置にもっとも近いゴールラインに並行なゴールエリアのライン上で行う必要があります。
しかし、それでもボールとゴールラインの距離は、5.5mとなるため、守備側は9.15m以上離れることができません。この場合のように9.15mの距離がどうしても撮れない場合のみ、守備側はゴールライン上に限り、9.15mより近づくことができます。
3名以上の壁が作られた場合、攻撃側は壁から前後左右1m以上離れなければならない(改正)
3枚以上の壁がある場合、攻撃側はその壁に1m以上近づくことはできません。
昔はこの攻撃側は守備側の「壁」にいくらでも近づくことができました。そのため、相手が作る壁の中に割り込み邪魔をしたり、シュートコースを強引に開けたりするプレーがよく見られ、得点機会となるFKでは選手同士の小競り合いも多く発生しました。
そこで、2019年からルールが改正され、攻撃側に対する壁のルールも作られ、攻撃側が壁の邪魔をすることはできなくなりました。仮に1m以上離れていない場合、相手に間接FKが与えられます。このルール改正により、FKがキッカーとGKの駆け引きをより楽しむことがでいます。
なお、壁から1m以上離れていれば、ゴールキーパーの目線からボールを見えないようにすることは問題ありません。
その他には原則ルールはない
壁に関するルールは上記の2つ程度です。他にも勘違いや、よく質問がある内容をまとめました!
- 壁の人数に制限はない。何名でもOK。
- 壁はジャンプしても、グラウンダーのシュートを防ぐために飛ばなくてもOK
- 壁がジャンプしつつ、寝そべってグラウンダーを防ぐことも可能(怪我のリスクがあるため制限される場合あり)
- 攻撃側が膝立ちなどをすることにより、GKからボールを隠すことは可能(怪我のリスクがあるため制限される場合あり)
- 直接FK・間接FKで壁に違いはない(しかし間接の場合インプレーになるとともに一人以上が飛び込むことが多い)