PK戦(ピーケー戦)とは?
PK戦とは、試合時間が終了しても決着がつかなかった場合に、両チームのペナルティマークからのキックによって勝敗を決めることです。
主にノックアウト式のトーナメント戦など、どちらが勝利したかを決めなければならない場合に、PK戦が行われ、両チーム5人ずつが交互にボールを蹴り得点の多いチームが勝利、5人で決まらなければ、6人目以降サドンデス方式で行われます。
試合中にペナルティエリア内で直接FKとなるファウルが起きた際に与えられる「ペナルティキックとは若干ルールが異なる」ため、正確には「ペナルティマークからのキック」といい、英語ではKMPM:kicks from the penalty markまたは、PSO:Penalty shoot-outと言います。
なお、延長戦を行わずにPK戦で勝者を決めるケースもあります。
PK戦は公式戦上は引き分け扱いとなる
PK戦に勝利したチームが勝ち上がることになりますが、PK戦に進んだ場合、その試合は「引き分け」として記録されます。
PK戦が導入される前
PK戦は、1970年に初めて導入されている比較的新しいルールです。PK戦が導入される前は、
- 延長戦を繰り返す
- 後日の再試合
- コイントスやくじなどの抽選
などによって決められていました。
ちなみに初めてのPK戦のキッカーは、"伝説の7番"北アイルランド代表のジョージ・ベスト選手です。
国際的な大会での初のPK戦は1976年欧州選手権
国際的な大会の決勝で初めてPK戦が行われたのは、1976年の欧州選手権の決勝「チェコスロバキア対西ドイツ」です。
その試合を決定づける瞬間の5人目のキッカーであった、アントニーン・パネンカ選手のシュートは大きな話題となり、彼の名が冠するプレー「パネンカ」となりました。
PK戦のルール
PK戦の細かいルールについてご紹介していきます。
通常のペナルティキックとの共通点
基本的には「ペナルティキック」と共通です。
- ボールはペナルティマーク上に置く
- キッカーは蹴るまでの助走で止まったり緩急をつけることはできるが、戻ることはできない(違反した場合には失敗扱いとなる)
- キッカーは蹴る時にキックフェイントなどで足をもどしてはいけない(失敗扱いとなる)
- GKは蹴る前にゴールライン上にいなければならない(違反しつつキッカーが外した場合やり直し)
- キッカーは特定されなければならない
PK戦に出場できるのは、試合終了時にプレーしていた選手のみ
PK戦に出場できるのは、PK戦直前に試合に出場していた選手のみです。控えの選手や途中交代してベンチに退いた選手、退場などをした選手はキッカーになることはできません。
そのため、延長後半の最後などPK戦に突入する直前に、PKストップを得意とするGKを投入することもあります。
人数が異なる場合は少ない方に合わせる
PK戦では「少ないほうに人数を調整」します。例えば、片方のチームが退場などによって10人でPK戦を迎えた場合、11人いるチームはPK戦に挑む10人を決定します。ここで除かれた1人は、下記で説明するサドンデス方式で11回目に突入しても、キッカーになることはできません。
万一キッカーがPK戦中に負傷した場合でも、これも負傷者が出ていないチームが人数を合わせます。
GKのみ、PK戦中に負傷してしまった場合で”交代枠が余っていれば”、その枠から交代することもできます。
コイントスによって使用するゴールと先攻・後攻を決定
コイントスを行い「PK戦をどちら側のゴールで行うか」を決定します。(以前は行うゴールの決定は主審が決定している時もありました。)
その後、もう一度コイントスを行い「コイントスに勝利したチームが先に蹴るか、後に蹴るかを決定」します。
一度キッカーを務めた選手は全出場選手が蹴り終えるまでキッカーになれない
一度キッカーを務めた選手は、PK戦に出場する全ての選手がキッカーを務めるまで再びキッカーを蹴ることはできません。
そのため、最初の5人だけでなく、通常11人目までの順番を事前に決定します。
両チーム交互に5本ずつ蹴る
まずは5本での成功数で勝敗を決めます。なお、勝利チームが確定した場合、その時点で試合終了となります。(例えば最速の場合、片方のチームが全て決め、片方のチームが全て外せば、3本目で試合終了となります)
なおキッカーはGKでも問題ありません。
5本で勝負がつかなければサドンデス
5本を終了して両チームのスコアが同じ場合、片方のチームが決め、もう片方のチームが失敗し点数に差がつくまでサドンデス方式で継続します。11人全員が蹴るまでは、同じ選手が2回蹴ることはできません。
一巡した場合サドンデスは継続するが順番は変えてもいい
11人全員がキッカーを務めても勝敗がつかなかった場合、サドンデスルールは継続しつつ2巡目に突入します。
1巡目と2巡目で蹴る順番を変えることは問題ありません。
キッカーがボールに触れることができるのは1度のみ
PK戦でキッカーがボールに触れることができるのは1度のみです。そのため、
打ったシュートがGKにセーブされたり、ゴールポストやクロスバーに跳ね返ったものに再度シュートを打つことはできません。
キッカー以外の選手はセンターサークル内のセンターライン付近で待機
PK戦の際、キッカー以外はセンターサークル内にいなければなりません。
しかし、待機している選手は、水分補給や防寒着を着用することが許されています。
GKのみセンターサークルではなく「ペナルティエリア外」にいることが許されています。
PK戦は「先行が有利」というデータも
PK戦は「先に蹴った方が勝利することが多い」という研究結果が発表されています。
イギリスの研究機関のデータによると「先攻の勝率は後攻の1.5倍」という結果が出ているほか、コイントスで勝利したチームは先行を選ぶ傾向があります。
ABBA方式のPK戦
PK戦の「先行有利」を軽減するのはなく、先行後攻と最初に決めるのではなく、先行➡︎後攻➡︎後攻➡︎先行➡︎先行➡︎後攻・・・とキッカーが前後する方式を「ABBA方式」と言います。
日本で数回テストされたこともありましたが、国際的な大会では導入されていません。