サッカー戦術解説 ディフェンス

【図解】「リトリート」とは?メリットデメリットは?サッカー戦術解説!

2022年5月10日

リトリートとは?

自陣に引いて守備ブロックを形成する

リトリート(retreat)とは、「退却・後退」を意味し、相手にボールを奪われた場合、すぐに自陣に戻り、守備ブロックを形成して守るサッカーの守備戦術のことです。

ディフェンスラインを低くするとともに、DF、MF、FWの選手まで自陣に戻りスペースをなくし、相手の攻撃に備えます。リトリートは戦力が劣っているチームが採用することが多く、相手に攻撃は受けるものの、大きなピンチとはならないように粘り強く守備を続け、コーナーキックといったセットプレーや、ロングカウンターによって、少ないチャンスを物にして勝利を目指します。

なお、ネガトラ時のみは厳しくプレッシャーをかける場合や、FW1枚は常に前線に残す形など、リトリートの形はチームによってさまざまです。

ハイプレスが対義語とされる

リトリートは、ボールを奪われた場合高い位置までプレッシャーをかけてショートカウンターを狙う「ハイプレス(フォアチェック)」の対する戦術と考えることができます。

リトリートのメリット

リトリートのメリットは大きくわけて、

  • 失点しにくい
  • カウンターサッカーと相性がいい

という点が挙げられます。

失点しにくい

リトリートの守備戦術の場合、基本的には選手全員が自陣に引いて戻ることになるため、数的有利もできるほか、スペースも消せるため失点しにくくなります。そのため、相手チームとの戦力差がある場合に、このリトリートが採用されることが多いのです。実際サッカーにおいては戦力差があったとしても、引いて守る相手に対して点を取るのはかなり難しいです。W杯予選で日本代表が格下相手に苦戦したり、ビックグラブが足元を救われることもよくあります。

GKとDFのスペースも僅かになるため、ラインブレイクもされにくいです。

ゴール前に人数をかけることを「ゴール前にバスを置く」と言われることもあります。

カウンターサッカーと相性がいい

リトリートは、ボールを奪ったら一気にロングカウンターを仕掛け安くなります。攻めあぐねて自陣深くまで侵入してきた相手に対し、ボールを奪った瞬間にカウンターをしかけ、手薄になった相手DFが揃う前にスピードをもって攻撃します。

リトリートのデメリット

リトリートの欠点として、

  • ボールポゼッションが低くなる
  • スタミナや精神的な消耗が激しい

ことが挙げられます。

ボールポゼッションが低くなる

リトリートを用いる場合、ボールを奪うことよりも「ゴールを奪われないこと」が基本的に優先されます。そのため、試合時間の多くの時間を守備に徹することになり、相対的にボールポゼッションが低くなります。リスクを負って人数をかけて点を取ることよりも、後ろに人数を残しておくことが多くなるため、遅攻がうまくいくこともあまり多くありません。試合時間の多くを「相手の攻撃を受ける」ことになるのです。

加えて、スコアが負けている状態でリトリート戦術を取るということは、相手に「時間稼ぎの時間を与えてしまっている」ことになります。

スタミナや精神の消耗が激しい

サッカーは基本的に、攻撃よりも守備のほうがスタミナや精神力の消費が激しいです。試合時間の多くの時間を相手に攻撃を受けるリトリートは、体力や精神を多く消費します。リトリートを用いる場合、精神的な我慢強さが求められます。上記のように先制を許した場合、攻撃をしなければならないものの、ずるずると時間がすぎていくこともありえます。また、守備的な戦い方となるため、メディアやサポーターから反発を受けることもあります。

リトリートを用いる場合、スタミナや精神的な消耗が激しくなることが多いのです。

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