サッカーの試合においては「PK(ペナルティキック)」は試合に大きな影響を与えます。しかし、実は詳細のルールは少し自身がないという方も多いのではないでしょうか?
ここではゴールキックにおいて勘違いが多いものを中心に、おさえておくべき8つのルールなどをわかりやすく解説していきます。
ペナルティキック(PK)とは?
PK(ペナルティキック)とは、ペナルティエリア内で直接フリーキックに該当するファウルが発生した際に、ファウルを受けたチームに与えられるプレースキックのことです。
ゴールから約10.97メートル(12ヤード)離れたペナルティマークにボールを置き、キッカーと相手ゴールキーパーとの1対1の状態で、直接相手ゴールにシュートを打つことができます。他のスポーツに比べ点が入りにくいサッカーにおいて、このペナルティキックが試合を決定づけることは多くあります。
PKの決定率は約80%とされている
プロサッカー選手のペナルティキックの成功率は約80%とされています。なお、ブラウン大学の研究によると、右にシュートを打った際の成功率は81%、左にシュートを打った際の成功率は83%とされており、左右どちらかで大きな違いはないという研究結果が出ています。
PKかどうかVARの対象にもなる
PKかどうかは、その試合の展開を大きく左右するため、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)が使われる対象ともなっています。
- PKかどうか
- ゴールかどうか
- 退場かどうか
- 警告や退場のプレーヤーの間違い
- その他主審が確認できなかった重大な事象
PK(ペナルティキック)の詳細ルール解説
ペナルティキック(PK)は、多くの人がイメージをついているものの、意外にも細かいルールが勘違いされていることがよくあります。サッカー経験者でも曖昧となっている部分もいくつかあるかもしれません。ここでは、細かいペナルティキックに関するルールをご紹介していきます。
ペナルティキックのキッカーは特定されなければならない
ペナルティキックとなった場合、「誰がペナルティキックを蹴るのか」がわかる様にしていなければなりません。「誰が蹴るのかわからないまま、突然ある一人が蹴る」ということは認められていません。なお、以下のPKを知っている方は多いかもしれませんが、このプレーは後日にJリーグがルールの適用ミスがあったと認めることとなっています。
ペナルティキックはインプレーとなるまで、ゴールキーパーはゴールライン上にいなければならない
ペナルティキックを受けるゴールキーパーは、キッカーがボールを蹴りインプレーとなるまでの間、ゴールポストを結んでいるゴールライン上にいなければなりません。
また、2019年と20年のサッカー競技規則により、キッカーがボールに触れた時点において、少なくとも片方の足がゴールライン上にある必要があると定められました。なお、ゴールライン上であれば、空中であっても問題ありません。
ペナルティキックの際、キッカーとゴールキーパー以外の選手がいる位置は限定されている
ペナルティキックの際、攻撃側と守備側どちらに関わらず、PKキッカーとゴールキーパー以外は、フィールドの中かつ、ペナルティエリアとペナルティアークの外側にいなければなりません。また、ペナルティーマークよりも後方にいなければならないとされており、守備側が妨害するような方法は原則取れないようにされています。
キッカーは一度ボールに触れた場合、他のプレーヤーが触れるまでボールに触れてはならない
PKのキッカーは、一度ボールに触れたあとは、他のいずれかのプレーヤーがボールに触れるまで、もう一度ボールを触ることはできません。そのため、「PK時にドリブルする」というようなことはできません。
シュートをゴールキーパーが止めて前に弾いた場合
シュートを相手ゴールキーパーが止めて、そのボールがインプレーのままPKキッカーの前に転がってきた場合、すでに相手ゴールキーパーがボールに触れているため、もう一度シュートを打つことができます。(延長後のPK戦では不可)
シュートがポストやバーにあたり、かつキーパーが触れていない場合
シュートがクロスバーやゴールポストに阻まれゴールとならず、かつ相手ゴールキーパーがボールに触れていない場合、ボールを2回触れたことと同義となるため反則となります。ゴールキーパーを含む他のプレーヤーがワンタッチでもした場合、再度シュートをうつことができます。なお、ここでいう自分以外のプレーヤーは、敵味方問わず、キッカー以外のキッカー側選手、ゴールキーパーを含むディフェンスの選手誰でも構いません。
キッカーがボールに触れた瞬間にインプレーとなる
ペナルティキックでは、キッカーがボールに触れた瞬間からインプレーとなります。そのため、キッカー以外の選手も敵味方問わずペナルティエリアやペナルティーアークに入ることができます。
ペナルティキックのキッカーはボールを前に出さなければならない
ペナルティキックのキッカーは、ボールを前に蹴り出さなければなりません。しかしボールを前にさえ蹴り出せば、タップ・ペナルティや2人PKとも言われる「一人目のキッカーがボールを軽く蹴り、2人目の他の選手が蹴る」という方法は認められます。キッカーは前にボールを出さなければならないほか、2人目のシュートを打つプレーヤーも、ボールが蹴り出されるまではペナルティエリアやペナルティーアークの外にいなければならないなどの制限はあるものの、意外にも昔からあるものになりあす。
なお、前方であれば、斜め前方でも問題ないほか、蹴り方に指定はありません。
PKでのキックフェイントは禁止
ペナルティキックにおいてキックフェイントは禁止されており、警告の対象となります。しかし「助走中のフェイント」は認められています。助走中に段階においては、止まったり緩急をつけたりといったフェイントは認められています。どこからかキックフェイントに該当するのかに関しては、蹴るための軸足を入れて足をあげてからフェイントをすることがアウトという定説があります。
主審の合図と共に行われる
ペナルティキックは、主審が全てのプレーヤーが上記の所定の位置にいることを確認した後に、PKを行う合図を出します。クイックスタートのようなことは認められていません。
上記ルールに違反があった場合、「誰がどのような違反をしたか」「ゴールが入ったかどうか」で対応が変わる
ペナルティキックは、この得点となる確率の高さなどから、特にインプレーとなる前に違反が起きた場合などに厳密なルールが定められています。
PKキッカーが違反した場合
シュートがゴールが入った場合はその得点は認められずに、ペナルティキックのやり直しとなります。もしゴールに入らなかった場合、プレーが中断され守備側の間接フリーキックとなります。
守備側ゴールキーパーが違反した場合
シュートがゴールに入った場合、キーパーに違反があってもその得点は認められゴールとなります。キーパーが止めてゴールとならなかった場合、ペナルティキックが再度行われるほか、ゴールキーパーに警告が与えられます。
なお、2020/21年にルール改正が行われ、インプレーとなる前にゴールキーパーが所定の位置を飛び出したもののボールに触れず、キッカーがゴールの枠を外したりゴールポストやクロスバーに跳ね返ってゴールとならなかった場合「ゴールキーパーの飛び出しが明らかにキッカーに影響を与えていない限り、キックは再び行わない」とルール改正されています。
攻撃側のキッカー以外のプレーヤーがインプレーとなるまえにペナルティエリアに入るなどの違反をした場合
シュートがゴールが入った場合はその得点は認められずに、ペナルティキックのやり直しとなります。もしゴールに入らなかった場合、プレーが中断され守備側の間接フリーキックとなります。
守備側のGK以外のプレーヤーがインプレーとなるまえにペナルティエリアに入るなどの違反をした場合
シュートがゴールに入った場合、違反があってもその得点は認められゴールとなります。シュートが枠を外れる、キーパーが止めるのいずれにせよゴールとならなかった場合、ペナルティキックが再度行われます。
両チーム違反(キッカーとGK両方が違反した場合)
ゴールとなった場合は得点は認められず、キッカーは警告となり、守備側の間接フリーキックとなります。ゴールにはいらなかった場合は、再度キックのやり直しとなりますが、キッカーもGKも警告が与えられます。
両チーム違反(キッカーとGKは違反していない)
再度ペナルティキックのやり直しとなります。
PKとPK戦で若干ルールが異なる
トーナメント戦などで用いられるPK戦では、若干ペナルティキックのルールに違いがあります。例えばPK戦では、シュートがGKにセーブされたり、ポストやバーに当たり跳ね返ったボールを再度シュートすることはできません。詳細はこちらをご覧ください。
PKの際の審判のシグナル
「PKなのかどうか」はその後の試合展開を大きく左右します。審判員の出すシグナルを見ることで、試合の再開方法を判断することができます。
主審のOKのシグナル
主審はPKとなる際には、ペナルティマークを手でさすジェスチャーをします。
PKのプレー
通常PKはゴールのすみを狙うのが一般的です。対してゴールキーパーは、キッカーが蹴った後に反応した場合、よほどコースに甘くない限り止めることは難しいため、シュートコースを予想して蹴る瞬間や直前に横に飛ぶことが多いです。そのGKが飛んだあとのガラ空きとなった中央に、あざ笑うかのようにループ気味のシュートを決めることを「パネンカ」と言います。