イエローカードとは?サッカーでは警告を意味
イエローカードとは、サッカーにおいて悪質なファウルなどを犯した選手に対して、主審が「警告」を与えるために提示される黄色のカードのことです。
前もって他人をいましめることである「警告」という言葉通り、イエローカードを1試合中に2枚提示された選手はレッドカードが掲示され、退場となります。
サッカーにおいて退場者が出ると、その後の試合時間を常に数的不利で戦わなければなりません。そのため、イエローカードをもらった選手は「次に重い反則をしてしまえば退場になってしまう」という心理的なプレッシャーがかかる状態で戦わなければなりません。ベンチワークとしても「退場」はゲームプランを大きく崩すこととなるため、イエローカードをもらっているかどうかは、選手交代の際に考慮する材料ともなります。
プロフェッショナルファウルもやりにくくなるほか、累積警告による出場停止が課されることもあります。
近年では、イエローカードやレッドカードの人間違いを防ぐため、VARによる介入も行われます。
イエローカード(警告)やレッドカード(退場)といったカードを頻繁にもらう選手のことを「カードコレクター」と言います。
ワールドカップのグループステージなどで、このイエローカードによって算出される「フェアプレーポイント」も影響します。
イエローカード何枚で出場停止?累積警告とは?
同じ大会やシーズンを通して、複数枚イエローカード(警告)をもらうことを「累積警告」と言います。
一般的に累積警告が積み重なった場合、出場停止の措置が下されます。
「累積○枚で出場停止」という枚数はリーグ戦や大会に追じて異なります。
例えば2022年のJリーグの場合、累積4枚で出場停止措置が下されます。しかしその出場停止は、ルヴァンカップや天皇杯には影響しません。また、プレミアリーグの場合累積5枚(1試合)・8枚(1試合)・12枚(3試合)の際に出場停止になります。
Jリーグ「2022明治安田生命J1リーグ」(外部リンク)
また、グループリーグから決勝トーナメントとなるような試合では、グループリーグの累積警告が決勝トーナメントに進んだ場合に累積が解消されたり、決勝や3位決定戦のみ、累積による出場停止が適用されないケースもあります。
累積警告の出場停止に関しては、その大会の規則を確認するようにしましょう。
シーズンを跨いで累積警告が繰り越されることはありません。
出場している選手以外にイエローカードが掲示されることも
イエローカードが提示されるのは、フィールドでプレーしている選手だけではありません。ベンチの控え選手や交代してピッチから出た選手、チームスタッフに対して掲示されることもあります。
かつてイエローやレッドは「口頭だった」
イエローカードを意味する「警告」は、昔は主審が口頭にて伝えていました、しかし、国際的な試合が多いサッカーにおいては「言葉が通じない」という事案が発生していました。さらにプロスポーツという性質上「観客やテレビ視聴者も何が発生したのかわかることが理想」です。
そのため、プレーしている選手はもちろん、見ている全ての人間がすぐに理解できるように、カードを掲示する制度が導入されました。
イエローカードとなる反則まとめ!
それでは、イエローカードとなる反則を見ていきましょう。
プレーの再開を遅らせる行為:イエローカードとなる反則
試合の再開を遅らせる「遅延行為」はイエローカード(警告)の対象となります。
例えば、
- ゴールキックやコーナーキック、フリーキックをなかなか蹴らない
- スローインをなかなか投げない
- 交代する選手が交代しにいくまで時間をかけすぎる
- プレーを停止した際に、ボールを持ち去ったり遠くへ投げる
- フリーキックやスローインをわざとやり直しにさせる(違う場所で行うなど)
などが挙げられます。
なお、プレー中の時間稼ぎ(ボール回しや相手コーナーフラッグ付近でのボールキープなど)は警告対象ではありません。
審判の判断への意義:イエローカードとなる反則
主審や副審の判定に対し、言葉やジェスチャーなどで異議を示した場合、警告の対象となります。
例えば、
- 繰り返し、または激しい判定への抗議、
- ファウル判定時などにボールを遠くへ蹴る
- ドリンクボトルを蹴る
- 過度にカード(イエローやレッド)を求める
などが挙げられます。
なお、攻撃的・侮辱的・下品な発言や行動であった場合、退場の対象となります。
主審の承認を経ずピッチ内に侵入・復帰・競技から離れる:イエローカードとなる反則
主審の承認を経ずに、ピッチ内に侵入してはなりません。
交代時のほか、例えば治療のため一時的ピッチ外に出て、治療が完了した場合でも、入る前に主審の承認を得なければなりません。
また、意図的に競技のフィールドから離れると警告対象です。(スローインやボールをとりにいくため、ドリブルのため一時的にピッチからでることではなく、試合を放棄しどこかへいくようなケースです)
FKなどで距離を取らない:イエローカードとなる反則
直接・間接フリーキック、スローインやコーナーキックでは、相手側は9.15mの距離を取らなければなりません。スローインでもスローインをする場所から2mの距離を取る必要があります。
また、FKで3枚以上の壁が作られた場合、攻撃側は壁から前後で距離を取る必要があります。この距離を取らず、試合の再開を遅らせた場合、警告対象となります。(近年ではプロの試合ではバニシングスプレーで位置が示されるため、この警告が取られることは減りました)
キックオフでセンターサークルの中に陣取ったり、ゴールキックでペナルティエリアの中に侵入することも該当します。
繰り返し反則を犯す:イエローカードとなる反則
同じ試合で、複数回反則を犯した選手にも警告が掲示されます。
なお、この回数や反則の内容などに定義やパターンはなく、主審の判断となります。「次にファウルをしたらイエロー」というような会話がされることもあります。
VAR関連のイエロー:イエローカードとなる反則
VARによるチェックやOFR(オンフィールドレビュー)のためにTVシグナルを過度に示した場合や、RRA(レフェリーレビューエリア)に侵入した場合、警告対象となります。
VOR(ビデオオペレーションルーム)に入った場合退場となります。
SPA:イエローカードとなる反則
SPA(スパ)とは、"Stopping a Promising Attack"の略で、サッカーにおける「大きなチャンスとなる攻撃の妨害」のことです。
相手の大きなチャンスの局面を、ファウルによって止めた場合、反則をした選手に原則イエローカードが提示されます。プロフェッショナルファウルには、重い罰則が設けられているのです。
DOGSO(決定的な得点機会の阻止)が適用された場合退場となります。
反スポーツ的行為:イエローカードとなる反則
反スポーツ的行為を行った場合、警告が与えられます。
具体的なものとして、以下のような者が挙げられます。
- シミュレーション
- 直接FKとなる反則を無謀に行う(明らかにボールに行くとは思えないスライディングなど)
- 相手の大きなチャンスとなる攻撃を妨害または阻止するためにボールを手や腕で扱う。
- ボールを手や腕で扱って得点をしようと試みる、または得点を阻止しようと試みて失敗する。
- 競技のフィールドに認められないマークを描く。
- 競技のフィールドから離れる承認を得たのち、競技のフィールドから出る途中でボールをプレーする。
- 試合に対してリスペクトに欠ける行為を行う。
- ゴールキーパーが手でボールに触れる触れないにかかわらず、競技規則の裏をかいて、頭、胸、膝などを用いボールがゴールキーパーにパスできるよう意図的なトリックを企てる。ゴールキーパーが意図的なトリックを企てていたならば、ゴールキーパーが罰せられる。(6秒ルールの裏をかいたもの)
- プレー中、または再開のときに言葉で相手競技者を惑わす
- プレー中に主審の承認を得ずGKと入れ替わる(GKの入れ替えは「①入れ替わる前に主審に通知する」・「②プレーの停止中に入れ替わる」という工程が必要です。)
過度なゴールパフォーマンス:イエローカードとなる反則
ゴールパフォーマンスをすることはできますが、過度になってはらなず、あまりに多くの時間をかけてはなりません。また、以下のような場合警告対象となります。
- シャツを脱いだり頭にかぶる
- マスクなどを顔や頭にかぶる
- 挑発や嘲笑などで相手の感情を刺激する
- ピッチのフェンスに登ったり観客に近づくなど、安全や警備に問題を与える
ゴールパフォーマンスのためにピッチから出ること自体は警告対象ではありません。
三重罰の軽減:イエローカードとなる反則
三重罰(さんじゅうばつ)とは、1つのファウルによって「PK献上」「退場」「次節出場停止」という3つの罰則が同時に下されることです。
PKを献上するようなファウルに関し「三重罰を緩和する」ルールも存在し、通常ではレッドカードだとしても、ボールにチャレンジできる場面だったが、結果としてファウルとなってしまった」と判断される場合、退場から警告へと軽減されます。
明らかに、繰り返しテクニカルエリアから出る
複数回テクニカルエリアから出たり、相手チームのテクニカルエリアに入ることも警告の対象となります。
試合に出ているフィールドプレーヤーが、スローインを除きテクニカルエリアに行き来することは考えられないため、監督などチーム役員や、ベンチメンバーに対する警告内容となります。