サッカーの試合において、「直接フリーキック」は試合の結果を大きく左右することになります。フリーキックの名手がいれば大きなチャンスとなり、その存在だけで相手にファウルがしにくくなるプレッシャーとなります。ここでは、直接フリーキックのルールを勘違いされやすい細かい部分まで徹底解説していきます。
直接フリーキックとは?
フリーキックとは、試合中に何かしらのファウルが発生した際に、その反則を受けたチームが、反則を受けた場所からプレースキックによってプレーが再開するルールのことです。どのようなファウルを受けたかにより、直接ゴールを狙うことが許される「直接フリーキック」と、2人以上の選手が一度はボールに触れなければゴールにならない「間接フリーキック」に分けられ、ここでは直接フリーキックについて解説していきます。
ペナルティエリアの外でファウルをし続けたり、守備を固めてきたを相手に対し、質の高いフリーキッカーが試合の命運を分けることは多くあります。日本では中村俊輔選手や本田圭佑選手、遠藤泰仁選手、世界でみればメッシ選手やベッカム選手など多くの名プレーヤーがいます。
直接フリーキックとなるファウル一覧
直接フリーキックとなる反則は大きく分けて10種類あります。加えて全てにおいて「不用意に」「無謀に」「過剰な力で」反則をした場合という条件が付きます。直接フリーキックとなる反則の詳細については、別の記事でご紹介していきます。
- ファウルチャージ
- キッキング(相手を蹴る)
- ジャンピングアット(飛びかかる)
- プッシング(相手を押す)
- ファウルタックル
- ハンドリング(GK以外の選手・許可されていない場所で選手ボールを手で扱う)
- トリッピング(つまづかせる)
- ストライキング(打つ・殴る)
- ホールディング(相手を押さえる・掴む)
- スピッティング(意図的に唾をはく)
直接フリーキックとなる反則が守備側ペナルティエリアの場合にはPK
直接フリーキックとなるファイルが守備側のペナルティエリアのなかで発生した場合、攻撃側にペナルティキックが与えられます。(同様にペナルティエリアの中で間接フリーキックとなるファウルが発生した場合は間接フリーキックのままです。)なお、ペナルティアークのなかで発生した直接フリーキックのファウルの場合、発生した場所で直接フリーキックとなりPKは与えられません。
直接フリーキックの詳細ルール解説
直接フリーキックは、そのままシュートをしてゴールが認められるため、サッカーの試合において試合を決定づけることは数多くあります。それでは、直接フリーキックの詳細のルールについてご紹介していきます。
ボールは静止している状態から始めなければならない
直接フリーキック、間接フリーキックともに、ボールは静止された状態から始められなければなりません。偶然風などで動いてしまった場合では、置き直してやり直しとなります。なお、ゴールキックやコーナーキック、キックオフなど他のプレースキックも同様のルールとなります。
直接FKは、そのままシュートしてゴールとなる
直接フリーキックによって、ボールが直接相手ゴールの中のゴールラインを完全に超えた場合には得点が認められます。なお、他の選手やゴールポスト、クロスバーなどに当たったあとにゴールに入った場合でも、その途中に反則がなければ得点が認められます。
ちなみに、ゴールキックやコーナーキックもそのまま直接相手ゴールに入れば得点が認められます。
直接フリーキックを蹴った選手は他の選手が触れるまでボールに触ることができない
直接フリーキックを行った選手が、他の選手に触れる前にボールに再度タッチすることはできません。すなわち、キッカーがドリブルして始めることはできないのです。直接フリーキックを行った選手がインプレーとなった後に、他の選手がボールに触れる前にキッカーが再度ボールに触れた場合、相手側に間接フリーキックが与えられます。
これは全てのプレースキックで共通の内容となっています。
相手チームの選手はインプレーとなるまで9.15m以上離れなければならない
直接フリーキックとなった場合、インプレーとなるまでディフェンス側の選手は、ボールから9.15m以上離れなければなりません。なお、ペナルティキックの場合、ディフェンダーはこの規定に加えて速やかにペナルティエリアの外にでようとしなければなりません。
直接フリーキックでゴールから距離が近い場合、ボールの進路を防ぐために守備側の選手が並び「壁」を作ることが多いです。この壁も、インプレーとなるまで9.15以上離れなければなりません。
なお近年では、バニシングスプレーによって、壁が近づける位置やボールの位置が示されています。
クイックスタートが認められた場合この規定が適用されない
フリーキックを開始する場所に間違いがなく、「審判がプレーを止めており、主審の笛で再開する」ことを攻撃側に決定していない限り、フリーキックはいつでも開始することができます。仮にディフェンス側の選手がフリーキックの地点よりも9.15m以内に位置していたとしても、試合を再開することは可能です。
自陣ペナルティエリアで発生した場合、相手はペナルティエリアにも侵入できない
直接フリーキックとなる反則が守備側チームの自陣ペナルティエリア内で発生した場合、完全にインプレーとなるまで、ボールから9.15m以上離れることに加えて、ペナルティエリアからも外にでなければなりません。いわばゴールキックと同様のものとなっています。
キックされたボールが明らかに動けばインプレー
直接フリーキックのキッカーが蹴ったボールが、明らかに動いた瞬間からインプレーとなり、上記のボールから相手チームが離れなければならないというルールが排除されます。なお、風などキック以外の自然的発生的な内容で動いてしまった場合、反則が発生した地点までボールを置き直し、直接フリーキックのやり直しとなります。
オフサイドは適用される
直接フリーキック、間接フリーキックともにオフサイドは適用されます。そのため、稀にフリーキックでのオフライドトラップが行われることがあります。
なお、ゴールキック、コーナーキック、スローインの場合、オフサイドは適用されません。
3名以上の壁を作った場合、攻撃選手は壁から前後左右1m以上離れなければならない
直接フリーキックでゴールから距離が離れていない場合、ボールの進路を防ぐために守備側の選手が並び「壁」を作ります。この壁は基本的には9.15mの位置で作れます。この壁に関して人数制限はありませんが、「三人以上の壁を作った場合、攻撃側の選手は前後左右問わず1m以上離れる」というルールが19年より制定されました。
この変更が制定される前は、攻撃側の選手が壁の間に入ったりして邪魔をすることが認められていましたが、このルール変更により攻撃側が壁の位置どりを邪魔したすることができなくなりました。
直接フリーキックはフェイント可能
直接フリーキック、間接フリーキックともに、フェイントは認められています。
自陣ゴールエリアで獲得した直接FKは事実上のゴールキック
自陣のゴールエリア内で直接フリーキックとなる反則が発生した場合、ゴールエリアの好きな場所から直接フリーキックを行うことができます。なお上記にも記載したように、相手選手はインプレーとなるまでペナルティエリアの中に入ることはできません。
アドバンテージとは?
アドバンテージとは、ファウルが発生したものの、ファウルを受けたチームが有利・好都合な局面であるときに、試合を止めずプレーを継続することです。「ファウルを受けたチームはFKを獲得するよりも、このまま攻撃を継続したほうが有利」と主審が判断した場合、アドバンテージが適用され、プレーが続行されることがあります。詳細はこちらをご覧ください。
直接フリーキックの際の審判のシグナル
審判員の出すシグナルを見ることで、直接フリーキックの発生が分かります。
主審の直接フリーキックのシグナル
直接フリーキックとなる際、主審は笛のあと、腕を横向きにしてファウルが発生した地点を指し示します。(ペナルティキックの際にはペナルティマークに駆け寄ります)
副審の直接フリーキックのシグナル
副審はプレイが停止するまで旗を上に上げてふり、プレイが停止された際には、フリーキックの方向に向けて旗を斜め上にあげます。なお、副審のシグナルで直接か間接かを判断することはできません。(オフサイドを除く)