ハーススペースとは、ピッチを縦に5分割したうちの真ん中と両サイドに挟まれたエリアのことで、近代サッカーでは非常に重要視されるエリアであり、言語化されて使われるようになりました。今回はハーフスペースとはなにか、ハーフスペースを活用するメリットは何か、その対応策などについてわかりやすく解説していきます。
ハーフスペースとは?
ハーススペースとは、ピッチを縦に5分割したうちの真ん中と両サイドに挟まれたエリア・考え方のことです。
従来、サッカーではピッチを縦に分割するときは「センター」「両方のサイドレーン」という3つで分割されて考えられていましたが、近代サッカーにおいてこのハーフスペースを活用されることが重要視され、言語化されて戦術に取り入れられるようになりました。ハーフスペースは5レーン理論と深く紐づいており、同様にピッチを縦に5分割した真ん中のゾーンのことをセンターレーン、サイドのレーンことをサイドレーン(またはアウトサイドレーン)といいます。
ニアゾーン
ハーフスペースの中でも特にゴールに近いエリア(ペナルティエリア内とされることが多い)を、ニアゾーンといいます。ハーフスペースの中でも特に重要なエリアで、ニアゾーンをいかに攻略するかが非常に重要視されています。
偽サイドバックによる活用
また、ボール保持時にハーフスペースにサイドバックが中央に絞りポジショニングする「偽サイドバック」という戦術を使用するチームも増えてきています。偽サイドバックの詳細はこちらをご覧ください。
ハーフスペースを活用するメリット
それでは、なぜハーフスペースを活用する戦術が注目を集めているのでしょうか。サッカーにおいて、戦術的にハーフスペースを活用するメリットをご紹介していきます。
プレーの幅を広く持つことができる
ハーフレーンでプレーをすることで、多くの選択肢を持ってプレーすることができます。
どのレーンにいてもパスを出すことができますが、アウトサイドレーンでボールを持っている時にシュートを打っても、ゴールまでの距離が遠いうえにシュートコースもかなり限定されてしまうため、得点となる可能性は低いです。またタッチラインがあるため、パスコースは同じレーン内か、センター側のエリアに限定されていまします。一方センターレーンではシュートを打つこともできるほか、両方のサイドにパスコースがあります。しかし、位置的にクロスを上げるということはできません。
ハーフレーンでは、両サイドのレーンへパスを通すことはもちろん、そのままシュートを打つことも、クロスを上げることも可能です。カットインしてシュートを打つことも、味方FWに決定的なスルーパス・ラストパスを出すこともできます。ハーフレーンでボールを持つと、他のレーンに比べて多くの選択肢を持ってプレーすることができるのです。
プレーするスペースを確保しやすい
センターエリアは360度全方向をプレーエリアとすることができますが、相手ディフェンスも密集しやすく、プレッシャーを受けやすいため、自由にプレーするのは簡単ではありません。一方サイドレーンでは、相手からのプレッシャーは受けにくいものの、タッチラインを背負ってプレーすることになるため、必然的にプレーできるエリアは限定されます、
一方その間に位置するハーフスペースは、360度のプレーエリアを確保しつつ、センターエリアに比べてプレッシャーも受けにくいため、プレーするスペースを確保しやすいのです。
相手を迷わせることができる
上記のプレーエリアにつながりますが、ハーフスペースを活用することによって、相手のプレーヤーを誰がプレッシャーにいくのか、どこでかけるのかを迷わせることができます。
ある意味ハーススペースは「中途半端な位置」です。4バックでも3バックでも、事前に約束ごとをしないとどちらがいくか迷います。ミドルサードでも、サイドハーフとセンターハーフどちらが行くのか、FWが戻るのかなど、それぞれの立場のなかプレッシャーに迷わせる位置にいるのです。その判断をミスしてしまいフリーな選手がでてしまったり、重要な位置でプレッシャーをかけるのが遅れてしまえば、決定的な仕事をされてしまいます。ハーフスペースは守備側にとって、どう対応するかが非常に難しいエリアなのです。
特にメッシ選手がバルセロナ時代、偽9番としてこのハーフスペースでパスを受けることで、フリーでボールを持つ機会が多く見られました。
ハーフスペースへの対応策
ハーフスペースを活用するチームが増えたことで、多くのチームで対応策を取る必要ができてきました。従来の守備戦術では、ハーフスペースをうまく使うチームに対して守り続けることが難しくなってきてしまったのです。今回は、ハーフスペースを生かす戦術への対応策をご紹介していきます。
5バックで守る:ハーフスペースへの対応策
ハーフスペース活用の対応として考えられる方法が、5バックによる守備です。サイドレーンやセンターレーン、ハーフレーンに1人ずつDFを配置することで「ニアゾーンに近いハーフスペースに誰がプレスをかけるか」という問題を解決します。守備の人数も多いためスペースもできにくく、チャレンジ&カバーの関係も作りやすいです。
しかし、守備に人数をかけるため、攻撃がしにくいという大きな欠点を持っています。
ハーフスペースの対応を約束事として決める:ハーフスペースの対応策
- センターハーフ2枚がハーフスペースに蓋をする
- 両サイドバックが両ウイングへのマークを優先する
- セカンドトップが1列下がる
などあくまでチームのフォーメーションやプレイヤーによりますが、ハーフスペースの位置にごとに対応する約束事を決めるというのも1つの対応策として撮られています。
サイドチェンジを多用する:ハーフスペースの対応策
ここまでハーフスペースにたいして、どのようにディフェンスをするかを解説してきました。また、ハーフスペースを活用するチームで「偽サイドバック」を活用するチームに対し、ボールを奪った瞬間にスペースが空いてしまっている逆サイドにサイドチェンジを行い、攻めるという対応が行われることもあります。